子ども向けアプリのガチャは、子どもに悪いのか
結論から書きます。ガチャがあるかどうかでは決まりません。 どこに線が引かれているかで決まります。
同じ「ガチャ」という言葉でも、中身はまったく違います。現金で引けるものと、引けないもの。 当たると強くなるものと、見た目しか変わらないもの。 一括りにして良い悪いを決めると、判断を間違えます。
下に、親が自分で確かめられる6つの質問を置きました。アプリを開いて5分で確認できます。
そもそも、ガチャはなぜ効くのか
先に仕組みのほうを書いておきます。
人は、いつ報酬が来るか分からないときに、いちばん行動を続けます。 毎回もらえると飽きます。まったくもらえないとやめます。たまに、予測できないタイミングで来るのが、いちばん続く。変動比率強化と呼ばれるものです。
これはギャンブルの機械が使っているものと同じです。子どもが未熟だから引っかかるのではなく、大人も同じように引っかかります。
だから「うちの子は大丈夫」も「子どもには早い」も、どちらも的を外しています。見るべきなのは、その仕組みがどこまでの力を持たされているかです。
子ども向けアプリのガチャを見分ける6つの質問
1. 現金でガチャを引けますか
これが一番大きい線です。
課金してガチャを回せるなら、そのアプリは「子どもの欲しい気持ち」を、そのまま家計につなげています。金額の上限を親が管理していても、子どもの側から見れば「お金を入れれば出る」という形を覚えます。
現金が入口にないなら、残りの問題はかなり小さくなります。
2. 当たりが、強さや進行に関係しますか
当たらないと勝てない、当たらないと先に進めない。こうなっていると、引き続ける圧力がかかります。
見た目しか変わらないなら、引かなくても困りません。「欲しいけれど、無くても困らない」は、お金の練習としてはむしろ良い題材です。
3. 確率は表示されていますか
出る確率が書いてあるかどうか。書いてあれば、「100回引いても出ないことがある」を親子で確かめられます。
ちなみに、複数の景品を集めさせて別の景品を出す「コンプガチャ」は、2012年に景品表示法に触れるとされ、各社がやめています。いまも同じ形が残っているなら、それ自体が注意の対象です。
4. 外れたとき、何を失いますか
引くために何を払っているか。現金なら問題は1番に戻ります。 時間や、遊んで貯めたポイントなら、損の大きさが変わります。
「毎日ログインしないと引けない」形だと、失うのは時間と生活のリズムです。ここも見ておく価値があります。
5. 当たったものを、売ったり交換したりできますか
外の人と交換できるなら、現金のやり取りが起きます。 「これあげるから、いくら」は、子ども同士でも起きます。
交換できないか、できても家族の中だけに限られているなら、その心配はありません。
6. 期間限定で焦らせていますか
「今日まで」「あと3時間」。急がせる表示が多いほど、考える時間を奪う設計になっています。
子どもが時計を気にしてアプリを開くようになったら、そこは一度見てください。
6つのうち、いくつ当てはまるか
| 当てはまる数 | 見方 |
|---|---|
| 1番に当てはまる | 現金が入口にある。ここだけは年齢にかかわらず慎重に |
| 2〜3個 | 遊び方のルールを家で決める必要があります |
| 0〜1個(1番を除く) | ガチャがあるという一点で避ける必要は、たぶんありません |
ガチャを全部避けなくていい理由(確率の教材になる)
ガチャを避け続けると、確率を体験する機会がなくなります。
「10%って、10回引けば出るってこと?」——これは大人でも間違えます。実際に引いて、出ない回を数えて、はじめて分かる種類のことです。
出る確率が表示されていて、現金が関わらないなら、ガチャは確率の教材になります。 一緒に回数を数えてみてください。「30回引いて2回」なら、表示された確率と比べられます。
家でできること
- 一度だけ、課金できるかを確認する。 設定か、ストアの表示を見れば分かります
- 「何回で出た?」と聞く。 数えるだけで、見方が変わります
- 出なかった日の様子を見る。 落ち込むのか、引きずるのか。反応の大きさが、その仕組みの強さです
- やめ時を先に決める。 「今日は3回まで」は、時間や回数で決めるほうが守りやすい
やめ時の決め方そのものは、こちらに書きました。
私の製品では、こう線を引きました
最後に、自分の立場を書いておきます。
私は小学生向けのアプリを作っていて、そこにはガチャがあります。入れるかどうかは長く迷いました。
決めたのは三つです。現金では引けないこと。 当たるのは見た目だけで、強さにも進行にも関係しないこと。 当たったものを現金に換えられないこと。
外れても、かけらがたまって別の景品と交換できます。当たったものをきょうだいと交換することもできますが、家族の中だけで、親の承認が要ります。 外の人とのやり取りは、できません。
上の6つの質問に当てはめると、当てはまるのは二つです。
ひとつは「毎日やると引ける券がたまる」こと。ここはまだ正解だと思えていません。 自分の子どもは、いまのところガチャのために手伝いをしています。
もうひとつは季節の景品が、その月にしか出ないこと。サンタ帽は12月、浴衣は夏。図鑑には灰色で残って「12月に 出る」と出ます。
後者は迷ったうえで残しました。急かしていないからです。 カウントダウンは出しませんし、お金を払って先に手に入れることもできません。待てば来ます。 季節が来るのを待つのは、焦らせることとは違うと判断しました。ただ、これも線の引き方の一つで、正解だと言い切るつもりはありません。
ガチャは強い仕組みです。 強いからこそ、どこまでの力を持たせるかは、作る側が決めることだと思っています。そして使う側も、6つの質問で確かめられます。
