ゲームの時間の約束が守られないとき
結論から書きます。守られないのは、意志の問題ではありません。約束の作り方の問題です。
直すところは4か所あります。順に書きます。
なぜ「あと5分」が終わらないのか
ゲームは、キリの悪いところで終わるように作られています。
あと少しでクリアできる。いまやめたら最初からやり直し。仲間と一緒に戦っている最中。終わりたくないのではなく、終われない状況に置かれています。
ここに「30分まで」という時間の約束をぶつけると、必ずぶつかります。時計はゲームの外側にあって、ゲームの中の区切りと一致しないからです。
だから「あと5分」が出ます。そして5分後、また同じ状況になっています。
これは子どもの性格の話ではありません。 大人も、キリの悪いところで仕事を止められません。
ゲームの時間の約束を直す4か所
1. 時間ではなく、区切りで決める
「30分」ではなく「3試合」「2ステージ」。
ゲームの中にある単位で決めると、終わりが子どもにも見えます。「あと1試合で終わり」は守れますが、「あと10分」は守れません。
だいたい何分になるかは、親が先に1回数えておく。 1試合10分なら、3試合で30分です。結果は同じで、守りやすさだけが変わります。
2. 始める前に、終わりを子どもに言わせる
親が「30分ね」と言うのは、指示です。子どもが「3試合で終わる」と言うのは、約束です。
同じ内容でも、守る確率が変わります。言った本人が決めたことになるからです。
始める前に必ず言わせる。 始まってからでは遅い。
3. 破ったときにどうなるかを、怒る前に決めておく
これがいちばん抜けやすいところです。
破った瞬間に親が決めると、その日の親の機嫌が罰の大きさになります。 子どもから見ると、同じことをしても結果が変わる。だから「今日は大丈夫かも」と思って試すようになります。
先に決めて、紙に書いておく。 「約束を破ったら、次の日はなし」でも「破った分だけ翌日から引く」でもいい。内容より、先に決まっていることのほうが大事です。
4. 親が時計の管理人にならない
「あと10分だよ」「もう時間」と親が言い続けると、子どもは時間を見なくなります。 言われるまでやればいい、という形になるからです。
タイマーを子どもの側に置く。 自分でセットさせる。鳴ったら自分で止める。
管理を手放すと、最初はうまくいきません。 それでも、親が管理し続ける限り、自分で止める練習は始まりません。
ゲームを「取り上げる」が効かない理由
守れなかったときに取り上げる。いちばんよく使われる手ですが、効きにくいです。
理由は二つあります。
取り上げられた側は、約束について考えません。 考えるのは、どうやって取り返すか、次はどうごまかすかです。罰が重いほど、隠す動機が強くなります。
そして、返すときの基準がありません。 いつ返すのか。何をしたら返るのか。ここが曖昧だと、取り上げは「親の怒りが収まるまで」になります。それは約束ではなく、気分です。
取り上げるなら、返す条件を同時に言う。 「明日は無し。明後日から、始める前に自分で終わりを言えたら再開」のように。
守れなかった日の扱い
毎回守れる子はいません。 守れなかった日が来たときに、何をするかで差がつきます。
おすすめは、その場で約束を作り直すことです。
「3試合って決めたけど、守れなかったね。何試合なら守れそう?」
減らしてもいいし、形を変えてもいい。守れない約束を持ち続けるより、守れる約束に直すほうが先です。
破った回数を数えて責めるのは、いちばん効きません。子どもが「自分は約束を守れない人間だ」と覚えるだけで、行動は変わりません。
紙に書くと、変わります
口約束は、両方の記憶が食い違います。「30分って言った」「言ってない」で揉めるのは、どちらも嘘をついていないからです。
紙に書いて、見えるところに貼る。 これだけで揉め事がかなり減ります。
書くのは3つだけでいい。何を(3試合)、破ったらどうなるか、いつまでの約束か(1週間、など)。期限を入れておくと、見直しやすくなります。
うちの場合
私は小学生向けのアプリを作っていて、その中に家庭のルールを子どもから提案させる仕組みを入れています。
ゲームの時間のようなルールは、親が決めて押し付けると必ず反発が来ます。子どもの側から「こうしたい」と提案させて、親が返事をする。返事は4つです。承認・条件を変えて返す・考え直してもらう・見送り。 承認したものは契約として残り、守った日数が記録されます。
期限は最長30日にしてあります。永久のルールにしないためです。期限が来たら、また話し合う。守れなかったら、そのとき作り直せばいい。
この考え方は、お金の扱いにもそのまま使えます。→ 小学生のお小遣い、相場はいくらか
まとめ
- 時間ではなく、ゲームの中の区切りで決める
- 始める前に、子どもに終わりを言わせる
- 破ったときの結果を、怒る前に決めて紙に書く
- タイマーを子どもの側に置く
- 取り上げるなら、返す条件を同時に言う
- 守れなかったら、責める前に約束を作り直す
守れる約束に直し続けることが、約束を守る練習です。
