親が子どもとの約束を破ってしまったとき
結論から書きます。子どもに求めている手順を、そのまま親もやるのがいちばん早いです。
謝る。理由を言う。次の仕組みを言う。埋め合わせを決める。この4つです。
小学生2人を育てながら、子ども向けのアプリを作っています。この記事を書いていて、自分の作ったものに抜けがあることに気づきました。親の側に、この4つを書く場所がありませんでした。書きながら作ったので、それも最後に載せました。
子どもは、親が思っているより覚えています
破った側は忘れます。待っていた側は覚えています。
しかも、子どもは「今度ね」を期限のある約束として受け取っていることがあります。親のほうは、その場の返事のつもりだった。ここがずれたまま、何度か積み重なります。
積み重なると、こうなります。
- 親の約束を、最初から当てにしなくなる
- こちらが約束を守らせようとしたときに、通らなくなる
2つ目が実害です。守らせる側が守っていない状態では、約束という仕組み自体が家の中で効かなくなります。
子どもの側の話は、こちらに書きました。
「仕事だったから」は理由になりません
よく使う説明ですが、子どもの側から検証できません。
検証できない理由は、理由として機能しません。「そう言われたら納得するしかない」という形になるので、納得ではなく諦めになります。
言うなら、もう一段だけ具体的にします。
- 「会議が延びて、7時には家を出られなかった」
- 「今日中に出さないといけない書類が、夕方に増えた」
事実まで下ろすと、検証できる形になります。 そして子どもは、たいていそれで分かります。
親がやってはいけない 3つ
なかったことにする
いちばん多い対応です。 こちらが触れなければ、子どもも言ってこないことがあります。
ただ、言ってこないのは忘れたからではありません。言っても仕方がないと判断されたからです。
物で埋め合わせる
「代わりにこれ買ってあげる」。その場は収まりますが、約束を破ると物がもらえるという形を教えることになります。
埋め合わせは、同じ種類のもので返すほうが筋が通ります。 時間の約束を破ったなら、時間で返す。
子どもの失敗と相殺する
「お父さんも悪かったけど、この前あなたも」。これをやると、謝罪が交渉材料になります。
別の件は、別の日に扱ってください。
やることは4つ(子どもに求めているのと同じ)
① 事実をそのまま言う
「今日の6時に公園に行くと言っていたのに、行けなかった」
言い訳の前に、起きたことだけ。 ここを飛ばすと、謝罪が説明から始まってしまいます。
② 自分の中の理由を言う
「仕事が」ではなく、自分が何を選んだかまで言えると、いちばん伝わります。
「書類を今日出すほうを選んだ。約束のほうを後回しにした」
格好はつきませんが、事実です。 そして子どもは、親が選択をしたことを理解できます。
③ 次の仕組みを言う
「次は気をつける」は、子どもに禁止しているのと同じ言葉です。 仕組みで言います。
- 「次からは、約束した時間の30分前にアラームを入れる」
- 「予定が怪しくなったら、当日の昼までに言う」
2つ目のほうが現実的かもしれません。守れないことより、直前まで分からないほうが待たせます。
④ 埋め合わせを、日付で決める
「今度」と言わないでください。 それがそもそもの原因です。
「今週の土曜の午前に行く」
日付が入って初めて、埋め合わせになります。 そして、その日は守ってください。埋め合わせを破ると、二重になります。
謝る回数が多いと思ったら
毎週謝っているなら、謝り方の問題ではありません。約束の作り方の問題です。
- 守れるか分からない約束を、その場でしていないか
- 「たぶん行ける」を「行く」と言っていないか
「行けるか分からない」と先に言うほうが、信用は減りません。 子どもが怒るのは、行けなかったことより、行けると言われていたことのほうです。
うちの場合(書きながら、作りました)
私が作っているアプリには、子どもが信用を取り戻すための手順が入っています。やっていないのに「やった」と言ってしまったとき、それを認めて、理由を言って、次の仕組みを決めて、戻り方を自分で決める。専用の画面があります。
この記事を書くために実装を見直して、気づきました。
親の側には、同じものがありませんでした。
親が子どもを判定する画面はあります。差し戻す画面も、条件を変えて返す画面もあります。親が自分の非を認める場所だけ、作っていませんでした。
意図して外したのではなく、思いつかなかったというのが正直なところです。信用という言葉を、最初から子どもの側のものとして設計していました。
片側だけに置いた時点で、それは信用ではなく評価です。 なので、作りました。
親の画面に「約束を守れなかったとき(親の側)」があります。上に書いた4つを書くと、子どもの画面に「おうちの人から てがみ」として、ふりがな付きで届きます。 埋め合わせの日付は、入力しないと送れません。
作るときに、わざと入れなかったもの
ここが、いちばん迷ったところです。
| 親に点数を付けない | 子どもには信用の数字があります。親には付けませんでした。 測るのが目的ではなく、認める場所を作るのが目的だからです |
| 回数を数えない | 「今月3回」のような表示はしません。責める材料になります |
| 子どもからは催促できない | 「お父さん、これ書いて」が押せる形にはしませんでした。押せると、道具が武器になります。 親が自分から開く場所にしてあります |
もうひとつ、作っている途中で足したものがあります。②に「仕事だったから」と書くと、画面が小さく言ってきます。「お子さまの側から検証できない理由は、理由として働きません」。③に「次は気をつける」と書いたときも、④に「今度」と書いたときも同じです。
止めはしません。 そのまま送れます。送る前に一度気づけば十分だと思っています。
この記事を書いていなければ、たぶん作っていませんでした。
まとめ
- 子どもは覚えている。 忘れているのは破った側
- 「仕事だったから」は検証できないので理由にならない。 事実まで下ろす
- なかったことにしない/物で埋め合わせない/子どもの失敗と相殺しない
- やるのは4つ。 事実/自分が何を選んだか/次の仕組み/埋め合わせの日付
- 「次は気をつける」を使わない。 子どもに禁止しているのと同じ言葉
- 謝る回数が多いなら、謝り方ではなく約束の作り方を見直す
- 自分のアプリにも、親の側の同じ4つを作った。 ただし親に点数は付けず、回数も数えない
守らせる側が守っていないと、約束という仕組みごと効かなくなります。 子どもに信用の話をするなら、同じものを自分にも向けておきたいと思っています。
