子どもに約束を破られたとき、嘘をつかれたときの対応
結論から書きます。嘘を、性格の問題として扱わないでください。
「正直な子に育てる」という方向で詰めると、次からはうまく隠すようになります。扱うのは性格ではなく、仕組みと、戻り方です。
小学生2人を育てながら、子ども向けのアプリを作っています。うちでの扱い方も最後に書きました。
子どもが嘘をつくのは、たいてい3つの理由
本人に聞くと、出てくるのはだいたいこれです。
- 怒られたくなかった
- 続けてきた記録を切りたくなかった
- 面倒で、あとでやろうと思っていた
3つとも、嘘をつくこと自体が目的ではありません。 別の目的があって、そこに嘘が近道として置かれています。
特に2つ目は見落とされがちです。毎日続けてきたものがあると、それを切らないために嘘が出ます。 真面目な子ほど起きます。
つまり、嘘は「サボりたい」の印とは限りません。
叱り方より先に決めること
叱り方を工夫しても、次は変わりません。先に決めるのは、戻り方のほうです。
嘘が出たあと、家の中には2つの状態が生まれます。
- 子ども:信用を失った状態
- 親:どこまで確認すればいいか分からない状態
どちらも、放っておくと続きます。「いつ、どうなったら元に戻るのか」を決めないと、気まずさだけが残ります。
やってはいけない対応 3つ
問い詰める
「正直に言いなさい」と言いながら問い詰めると、言ったあとに叱られることが分かっているので、言いません。
やるなら、先に言ってしまいます。
「正直に言ったことについては、怒らない。言わなかったことのほうを問題にする」
これを先に言わないと、正直に言う理由が本人の側にありません。
過去を蒸し返す
「前もそうだった」「いつもそう」。ここから先は、一つの出来事の話ではなくなります。
人格の話になると、子どもにできることがなくなります。直せるのは行動だけです。
罰を上乗せする
嘘をついたこと自体に罰を足すと、次は嘘の精度が上がります。 隠す動機を増やしているからです。
罰ではなく、確認を増やすほうが筋が通ります。これは報復ではなく、信用が減ったことの自然な結果だからです。
聞くのは 4つだけ
順番に聞きます。この順番にも意味があります。
①「何があったか、そのまま言って」
まず事実です。評価や理由を混ぜずに、起きたことだけ。
②「どうしてそうしたの? 『誰かのせい』ではなく、自分の中の理由を」
「誰かのせいではなく」を先に付けるのが大事です。 これがないと「○○くんが」から始まります。
出てくる答えは、たいてい前に書いた3つのどれかです。それが出てきたら、半分は終わりです。
③「次はどうやって防ぐ? 『がんばる』はなしで」
ここが本体です。
「がんばる」を禁止してください。 がんばるは仕組みではないので、同じことが起きます。欲しいのは、順番を変える・場所を変える・見せる相手を作るといった、行動の形を変える案です。
- 「あとでまとめてやる」をやめて、終わった直後にやる
- やったあと、親に見せてから記録する
- できなかった日は「できなかった」と押す
④「信用を取り戻すために、しばらく何をする?」
本人に決めさせます。 親が罰として課すのと、本人が期間を決めるのとでは、同じ内容でも残るものが違います。
信用の戻し方は、日付で決める
いちばん大事なところです。終わりの日を決めてください。
- 「1週間は、やったあとに見せてから記録する」
- 「今週は、追加で家の仕事を一つ引き受ける」
期限のない「しばらく」は、罰です。 いつまで続くか分からないと、本人は戻ろうとしません。
そして、その日が来たら、本当に戻してください。 戻さないと、次からは最初から諦めます。
約束そのものの作り方は、こちらに書きました。
「正直に言った」ほうを、必ず扱う
最後にひとつ。
自分から言ってきたときは、結果がどうであれ、言ったこと自体を先に扱ってください。
「言いにくかったと思うけど、言ってくれたのは良かった」
これを飛ばして中身の話に入ると、次からは言ってきません。 正直に言うことの見返りが、本人の側に一度もないからです。
うちの場合
私が作っているアプリには、嘘を認めて信用を取り戻すための専用の手順を入れてあります。欲しいものを提案するのと同じ形式で、子どもが親に出します。
画面での説明は、こうなっています。
「うそを みとめて、信用を 取り戻す」
これだけは無料で何度でも出せるようにしました。 ここに費用をかけさせると、言わないほうが得になってしまうからです。
聞く順番は、上に書いたものとほぼ同じです。実装ではこうなっています。
| 質問 | |
|---|---|
| ① 事実 | やっていないのに「やった」と言ったことを、正直に言おう |
| ② 理由 | どうしてごまかした? 「だれかのせい」ではなく、自分の中の理由を |
| ③ 仕組み | 次は仕組みでどう防ぐ? 「がんばる」は なしで |
| ④ 戻り方 | 信用を取り戻すために、しばらく何をする? |
②と③の但し書きは、何度も書き直した部分です。これがないと、①で「○○くんが」と書き、③で「がんばる」と書いて終わります。
信用の表示も、責めず、慰めず、戻り方だけを出すようにしました。「あと何日で戻る」とだけ書いてあります。減った理由を画面が繰り返さないようにしています。それは親の仕事でもないと思っています。
まとめ
- 嘘を性格の問題にしない。 詰めると、うまく隠すようになる
- 理由はたいてい3つ。 怒られたくない/記録を切りたくない/面倒だった
- 問い詰めない・過去を蒸し返さない・罰を上乗せしない
- 聞くのは4つ。 事実/自分の中の理由/仕組みで防ぐ方法/戻り方
- 「がんばる」を禁止する。 仕組みではないので同じことが起きる
- 戻り方は日付で決める。 期限のない「しばらく」は罰になる
- 自分から言ってきたときは、言ったこと自体を先に扱う
目的は、二度と嘘をつかない子にすることではありません。次に何かあったときに、言ってくる子でいてもらうことのほうです。
