子どもに交渉を教えると、ずるい子になりませんか

2026.10.20

結論から書きます。なりません。

むしろ逆で、ずるくなるのは、交渉を教えなかったときだと思っています。理由を下に書きます。

小学生2人を育てながら、子ども向けのアプリを作っています。「子どもが親に交渉する」という作りなので、この質問は何度も受けました。真正面から答えます。

小学生が、お金と交渉と論理を学ぶアプリ「ライロジ」を作っています。毎日のパズルと家の習慣でコインを貯めて、欲しいものを保護者にプレゼンして交渉します。

「ずるい子になる」と言われるとき、想像されているもの

心配されているのは、たいていこの3つです。

どれも、分かります。実際、教え方を間違えるとそうなります。

ただ、それは交渉を教えたからではなく、「通し方」だけを教えたときに起きます。

交渉と「ごね得」は、別のものです

ここを分けておかないと、話が噛み合いません。

ごね得交渉
相手の利益考えない先に考える
通る理由相手が折れたから中身が良かったから
通らなかったときもう一度ごねる案を作り直す
使う道具感情・しつこさ・タイミング事実・理由・対価

ごね得は、相手が疲れることで成立します。 交渉は、相手にも得があることで成立します。

子どもが自然に覚えるのは、ごね得のほうです。 教えなくても身につきます。効くからです。

交渉を教えないと、何が残るか

教えなければ、要求がなくなるわけではありません。形が変わるだけです。

3つ目が、いちばん根が深いところです。答えがその日によって変わる家では、子どもは中身を磨く意味がありません。 タイミングを読むほうが合理的だからです。

これが「ずるい」の正体だと思っています。交渉を教えると生まれるのではなく、交渉が成立しない家で育ちます。

断り方の一貫性については、こちらに書きました。

→ 「買って」と言われたときの断り方

ずるくならないための 3つの条件

交渉を教えるなら、この3つは外さないほうがいいと思っています。

① 相手の利益を言わせる

「自分がどう得するか」だけの提案は、通さない。「相手に何が返るか」を必ず入れさせます。

これが入ると、提案は自動的に「言いくるめ」から遠くなります。相手を見ないと書けないからです。

② 通らない経験を残す

全部通したら、それは交渉ではなくおねだりです。

通らない回があるから、通った回に意味が出ます。そして、断られた理由を聞いて作り直すという、いちばん難しい動作が練習できます。

断るときは、理由を言ってください。理由のない「だめ」は、交渉の練習になりません。

③ 事実と意見を分けさせる

「すごく欲しい」は意見です。「今持っているものが壊れていて使えない」は事実です。

事実で話す癖がつくと、屁理屈にはなりません。 屁理屈は、事実が足りないところを言葉で埋めようとしたときに出ます。

「屁理屈がうまくなっただけでは?」への答え

正直に言うと、最初は屁理屈が増えます。 うちでもそうでした。

ただ、屁理屈は事実を確かめると止まります。 一つ確かめればいい。

「今きつくないよね?」

「それ、先月も言ってたよね?」

論破するためではありません。 事実を一つ置くだけです。屁理屈は、事実の上では立てません。

だから、屁理屈が出てきたら、交渉が失敗しているのではなく、まだ事実が足りていないというだけだと思っています。

親の側が気をつけること

教える側が壊してしまうことがあります。2つあります。

① 論破の場にしない。

子どもの提案に穴を見つけて、全部指摘したくなります。やると、次から提案を持ってきません。 穴は、通すか通さないかに関わるものだけ指摘すれば足ります。

② 親も理由を言う。

「だめ」とだけ返すと、子どもは理由なしで通す方法を探し始めます。ごね得を教えているのは、そのときの親のほうです。

親の理由は、立派でなくて構いません。「この金額は、いまの家の予定に入っていない」で十分です。主語が自分になっていれば足ります。

うちの場合

私が作っているアプリは、子どもが欲しいものを親に提案する仕組みです。コインを貯めて、提案する権利を買って、理由と対価を用意して発表します。

ずるくならないように、作るときに決めたことが3つあります。

① 提案を作っている途中で、案内役が親の反論を先に出します。

「おうちの人は こう言うかも:」

「その値段はうちには高いよ」「先月も同じことを言っていたよね」。本番の前に、反対意見をもらえるようにしました。 相手の側から自分の案を見る練習です。

② 親の返事を4つにしました。

承認、逆提案(条件を変えて返す)、考え直し、見送り。「通る/通らない」の2択にしていません。 条件を変えて返されたら、受けるか練り直すかを子どもが選びます。

③ 全部は通りません。

見送りもあります。そして、見送られたあとすぐには出し直せません。 画面にはこう出ます。

「見送りから 3日は あけてね。少し 考え直してから もう一度」

連打で通す道を、わざと塞いであります。 ここを開けておくと、しつこさが戦略になってしまうからです。

通らない提案があるから、通った提案に意味があります。 全部通る仕組みは、交渉の練習になりません。

「みんな持ってる」を理由にできないようにした話は、こちらに書きました。

→ 「みんな持ってる」と言われたときの答え方

まとめ

交渉を教えるのは、要求を通す力をつけるためではありません。要求を言葉にして、相手に届く形にする力をつけるためです。そこが抜けると、たしかにずるい子になります。

ライロジ(Life & Logic)は、小学生がお金と交渉と論理を学ぶアプリです。毎日のパズルと家の習慣でコインを貯めて、欲しいものを保護者にプレゼンして交渉します。

ブラウザで動くのでインストールは要りません。はじめの30日は全機能無料、カード登録も不要です。

1つのご契約で、お子さま4名までお使いいただけます。きょうだいで別料金はいただきません。

ライロジについて / 使い方