「みんな持ってる」と言われたときの答え方

2026.10.14

結論から書きます。「みんな持ってる」を否定しないでください。 言い換えさせてください。

これは嘘でもわがままでもありません。理由になっていないだけです。だから、潰すのではなく、理由の形に直させます。

小学生2人を育てながら、子ども向けのアプリを作っています。うちのやり方も最後に書きました。

小学生が、お金と交渉と論理を学ぶアプリ「ライロジ」を作っています。毎日のパズルと家の習慣でコインを貯めて、欲しいものを保護者にプレゼンして交渉します。

「みんな持ってる」はなぜ出てくるのか

理由がないから出てくるのではありません。 理由を言葉にできないから出てきます。

子どもが本当に感じているのは、たいていこういうことです。

これを一言で言おうとすると、「みんな持ってる」になります。 他に言い方を知らないからです。

そして、これは大人も使います。「他社さんはもう入れてますよ」「みんなやってます」。同じ形です。 便利だから使われるのであって、子どもが特別ずるいわけではありません。

だから、言い方を増やすのが親の仕事になります。

「みんな持ってる」に使わないほうがいい答え方 3つ

「よそはよそ、うちはうち」

いちばんよく使われて、いちばん会話が終わります。

言っていること自体は正しいのですが、子どもの側に返す言葉が残りません。 言い返せないので黙るだけで、納得はしていません。そして次からは言ってこなくなります。

理由を言う練習の機会が、ここで一つ消えます。

「本当に"みんな"持ってるの?」

数の勝負に持ち込む返し方です。たいてい「◯◯くんも△△ちゃんも持ってる」と返ってきて、こちらが「それは3人でしょ」と言う展開になります。

勝っても何も残りません。 しかも、本当に多数派だった場合には、こちらが折れるしかなくなります。数で決めると決めたのは、親のほうです。

「じゃあ◯◯ちゃんの家の子になれば」

言った側は冗談のつもりでも、突き放されたことだけが残ります。 これを言われた子は、次から欲しいものの話を持ってきません。

「みんな持ってる」を理由に変える 3つの質問

潰さずに、言い換えさせます。順番に聞くだけです。

①「持っていないと、いま何が困るの?」

ここで、ぼんやりした不安が具体的な場面になります。「休み時間に話が分からない」「放課後に自分だけ別のことをしている」。困りごとが出てきたら、それがもう理由です。

②「それがあったら、明日から何が変わるの?」

これは大人でもうまく答えられません。欲しい理由は長く話せますが、手に入ったあとのことは、想像しないと言葉になりません。

答えられなかったとしても、責めないでください。答えられなかったことに本人が気づくのが、いちばん効きます。

③「"みんな"じゃなくて、あなたの理由を1つだけ教えて」

ここで言い換えが完成します。1つだけ、と数を区切るのが大事です。 たくさん言わせようとすると、また「みんな」に戻ります。

「友だちが持っている」は理由になる。「みんな」はならない

ここが、この話でいちばん大事なところです。

友だちを理由にするのを禁止しないでください。 だめなのは「みんな」のほうです。

主語中身
「みんな持ってる」他人自分がどうしたいかが入っていない
「友だちと一緒に遊びたい」自分やりたいことが具体的に入っている

同じ「友だち」の話でも、主語が自分に変わると理由になります。

子どもが本当に言いたかったのは、たいてい下の3つのどれかです。それを引き出すのが目的であって、友だちの話を封じるのが目的ではありません。

本当に困っているときの「みんな持ってる」

ときどき、これは軽い話ではありません。

持っていないことで、実際に輪から外れている場合があります。 連絡がそこで回っている、遊びの約束がそこで決まっている、という状態は実在します。

そのときにやることは2つです。

① 困っていることを言えたこと自体を、先に認める。

「それは、ちゃんとした理由だね」

買うかどうかとは別です。理由として成立していることを認めると、次からも言ってきます。

② 道具で解決するのか、別の方法があるのかを一緒に考える。

同じ困りごとに、別の手があることもあります。「買う/買わない」の2択にしないことが、ここでは効きます。

断り方そのものについては、こちらに書きました。

→ 「買って」と言われたときの断り方

親のほうも「みんな」を使わない

言い換えを求める以上、親の側も揃えておきたいところです。

自分の理由を言う。「うちは、誕生日まで待つことにしている」「この金額は、いまの家の予定に入っていない」。主語が自分になっていれば、それで足ります。

値段そのものをどう伝えるかは、こちらに書きました。

→ 子どもに「高い」「安い」をどう教えるか

うちの場合

私が作っているアプリでは、子どもが欲しいものを提案の形にして親に出すようにしています。

その提案を作るときに、案内役がいちばん最初にする質問が、これです。

「まず教えて。どうして それが欲しいの? 『みんな持ってる』じゃなくて、きみの理由を。」

一問目に置きました。 ここを通らないと先に進めません。

そのうえで、答えの例として「友だち」を残してあります。

「友だちと いっしょに 使えるから」

「友だちが 持っていて、いっしょに 遊びたい」

封じているのは「みんな」であって、「友だち」ではないということです。ここを一緒に禁止してしまうと、子どもの本当の理由まで消えます。

次の質問は「それを買ったら、毎日はどう変わる?」で、そのあとに案内役が親の反論を先に出してきます。

「おうちの人は こう言うかも:」

本番の前に、反対意見をもらえるようにしてあります。親の側に立って自分の案を見る練習です。

最後に親が返すのは4つです。承認、逆提案(条件を変えて返す)、考え直し、見送り。 「みんな持ってる」のままでは、どれにも進めません。

まとめ

「みんな持ってる」は、理由がないという合図ではありません。 言葉が足りていないという合図です。そこを埋めるのは、まだ親の仕事だと思っています。

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