お年玉の使い道を、子どもにどう決めさせるか

2026.10.08

結論から書きます。全額を親が預かるのも、全額を本人に渡すのも、どちらも練習になりません。

やることは1つです。3つに分けて、その割合を本人に決めさせます。

小学生2人を育てながら、子ども向けのアプリを作っています。お年玉は、1年のうちで子どもの手元にいちばん大きな金額が来る日です。使い方を考えるのに、これ以上の機会はありません。

小学生が、お金と交渉と論理を学ぶアプリ「ライロジ」を作っています。毎日のパズルと家の習慣でコインを貯めて、欲しいものを保護者にプレゼンして交渉します。

お年玉が、お小遣いと違う3つのこと

同じ「子どものお金」ですが、性質が違います。ここを押さえておくと扱いやすくなります。

お小遣いお年玉
金額小さい大きい
回数毎月年に1回
元家の取り決め人からもらったもの

年1回で金額が大きい、というのが一番やりにくいところです。 お小遣いは失敗しても来月に取り返せますが、お年玉は失敗すると1年あとになります。

そして、自分が稼いだお金ではありません。 ここを曖昧にすると、「お金はもらえるもの」という理解だけが残ります。

よくある3つの扱いと、それぞれが教えること

扱い子どもが学ぶこと
全額を親が預かる自分のお金は自分で決められない。使う練習がまったくできない
全額を本人に渡す金額が大きすぎて、ふだんの感覚から外れる。使い切る経験だけが残りやすい
一部を渡して、残りを預かる割合を親が決めているので、決め方の練習にはならない

3つ目はよくある形で、悪くはありません。ただ、どこを本人に決めさせるかが抜けています。 渡す金額を決めるのが親なら、本人がしているのは使うことだけです。

3つに分けて、割合を本人に決めさせる

分け方はこうします。

1. いま使う

2. 貯める

3. 人のために使う

この3つの枠は親が決めます。割合は本人に決めさせます。

ここが入れ替わると意味が変わります。枠を本人に決めさせると「全部いま使う」になります。割合を親が決めると、ただ渡されただけになります。枠は親、割合は本人。

条件はひとつだけ付けます。「貯める」をゼロにはしない。 1割でも構いません。ゼロを認めると、この枠を置いた意味がなくなります。

3つ目の「人のために使う」は、省く家も多いところです。残しておくと効きます。 金額は小さくていい。自分のお金で誰かに何かを買う経験は、ふだんはほとんどありません。

お年玉の金額の目安

お年玉の相場を調べると、小学生で合計1万円から3万円くらい、という線がよく出てきます。

ただ、この数字はあまり役に立ちません。 もらう相手の人数で大きく変わるからです。親戚が多い家と少ない家で、同じ学年でも何倍も違います。

他の家と比べるより、去年の自分と比べるほうがいい。 「去年はいくらで、何に使って、いま残っているか」。これなら本人の材料になります。

お小遣いの金額のほうは、こちらに書きました。

→ 小学生のお小遣い、相場はいくらか

「貯める」が機能しない理由

貯金箱に入れて終わり、にすると、ほぼ機能しません。理由は2つです。

① 目的がない

何のために貯めているか分からないお金は、理由なく減ります。「何を買うために、いつまでに、いくら」を決めます。決まっていないなら、決まるまでは「保留」という扱いにします。

② 見えない

減っていることも増えていることも分からないと、貯めている実感が出ません。紙1枚に、目標額と今いくらかを書いて貼るだけで変わります。

この2つを入れると、「貯める」が待つ練習になります。いま使えるものを使わずに持っておく、というのは、教えないと身につきません。

お年玉を無駄遣いしたとき

取り上げないことです。

本人に決めさせた以上、失敗する権利もあります。取り上げると、次からは親の顔色で選ぶようになります。失敗したことを隠すようになるのが、いちばん良くない結果です。

やるのは1つだけです。何に消えたかを、一緒に数えます。

「いくらあって、いま何円?」

「何に使った?」

「もう1回選べるなら、どれを買わない?」

3つ目が本体です。責めずに聞くと、本人が自分で順位をつけ直します。

これを年に1回やるだけで、翌年の使い方が変わります。 数えないと、そもそも何が起きたのか本人にも分かりません。

親が借りるのはやめる

「立て替えておくね」「あとで返すね」。これはやめたほうがいいと思います。

返した記録が残らないと、子どもの側には「取られた」だけが残ります。 しかも、お金を貸し借りするときに記録を残さなくていいのだと学びます。

どうしても預かるなら、いくら預かったかを紙に書いて、本人に渡しておくことです。手間はほとんどかかりません。

銀行に入れるなら、一緒にやること

口座に入れるのは良い方法ですが、親が入れて終わりにすると何も起きません。 本人が見ていないので、お金が消えたのと同じです。

一緒にやるなら、この3つは本人にやらせます。

3つ目が面白いところです。金利は銀行によって違いますし、時期によって変わります。だから、その場で調べて計算します。 計算してみると、たいていの子は「思ったより増えない」と言います。

その反応が正しいものです。 預けることは、増やすためではなく、使わずに取っておくための手段だと分かります。

もらったときのこと

使い道の前に、ひとつだけ。誰からもらったかを、本人に言わせます。

金額を合計するだけだと、お年玉は「年末に自然に増えるもの」になります。一人ずつ顔を思い出して、お礼を自分で言う。 ここを飛ばすと、あとの使い道の話が軽くなります。

うちの場合

私が作っているアプリには、コインを預けておくと増える仕組みを入れています。

預けると、土曜日に少し増えて返ってきます。 増える割合は決まっていて、損をする値動きは入れていません。ゲームの中のレートなので、本物の銀行や投資とは違うという注意書きを画面に出しています。

ひとつだけ、わざと不便にしてあります。預けているあいだ、そのコインはプレゼン権に使えません。 増やそうとすると、いま提案する力を手放すことになります。待つことには、必ず代償があるようにしました。

入れるときに迷ったのは、ここで子どもが覚えるのは「増やし方」ではないかということでした。覚えてほしいのはそちらではありません。

実際に起きたのは別のことでした。先日、上の子(小3)が下の子(小1)に、こう言っていました。

「いま使うものがないなら、預けておいたほうが得だよ」

「それ、ガチャで出るかもしれないよ」

下の子が動いたのは、2つ目のほうでした。払って買おうとしていたものが、待っていれば無料で手に入るかもしれない。増える話ではなく、払わなくて済むかもしれないという話で動きました。

順番としては、こちらが先なのだと思います。 増やす前に、払わなくていいものに払っていないか。お年玉でも同じことが言えます。

手伝いに対価を払うかどうかについては、こちらに書きました。

→ お手伝いにお金を払うのは、教育として正しいのか

まとめ

お年玉で大事なのは、金額をどうするかではなく、年に1回、自分のお金の使い方を自分で決めて、結果を数える機会があるということだと思っています。

ライロジ(Life & Logic)は、小学生がお金と交渉と論理を学ぶアプリです。毎日のパズルと家の習慣でコインを貯めて、欲しいものを保護者にプレゼンして交渉します。

ブラウザで動くのでインストールは要りません。はじめの30日は全機能無料、カード登録も不要です。

1つのご契約で、お子さま4名までお使いいただけます。きょうだいで別料金はいただきません。

ライロジについて / 使い方