クリスマスプレゼントの「これ買って」をどう扱うか
結論から書きます。クリスマスは、断る場面ではありません。1年でいちばん交渉の練習になる場面です。
理由は3つあります。予算の上限を親が先に決められる。期限が決まっている。そして、親のほうも最初から断る前提ではない。
この3つが揃っている機会は、年に1回か2回しかありません。ふだんの「買って」よりずっと扱いやすいので、ここで形を作っておくと、ほかの場面にも効きます。
小学生2人を育てながら、子ども向けのアプリを作っています。うちの決め方も最後に書きました。
クリスマスが毎年もめる理由
もめるのは、たいてい建前と予算が噛み合っていないからです。
サンタが持ってくる、という形にしている家では、「サンタなら何でも持ってこられる」が成り立ちます。値段という制約が、話の中に存在しません。
一方、親の側には上限があります。ここがぶつかると、上限の説明を、建前を壊さずにやらなければいけないという難しい状態になります。
毎年12月に入ってから慌てるのは、ここを11月のうちに決めていないからです。
11月のうちに決めておく 3つ
| 決めるもの | 中身 |
|---|---|
| 上限 | 金額の上限。きょうだいがいるなら、それぞれの額も |
| 締め切り | 「何日までに決める」。ここを決めないと、当日まで変わり続ける |
| 変更できるか | 一度決めたあと、変えていいのか。変えていいなら何日まで |
締め切りがいちばん効きます。 「12月10日までに決めたものにする」と先に言っておくと、それ以降に出てくる「やっぱりこっち」を扱えます。
そして、締め切りがあること自体が練習になります。 考える時間が区切られていると、本当に欲しいものを選ぶ必要が出てきます。
「サンタなら何でも持ってこられる」をどう扱うか
ここは家ごとに方針が違うところなので、選択肢を並べます。どれも嘘を重ねずに上限を出せる形です。
① 頼める数を決める
「サンタに頼めるのは1つ」と決めます。値段ではなく個数の制約にすると、建前を壊さずに済みます。選ぶ必要が出るので、練習としてはこれが一番いい。
② 手紙に第1希望と第2希望を書かせる
「届かないこともある」を先に入れておけます。第2希望を書く段階で、本人が自分の中で順位をつけます。
③ 値段のことは正直に言う
「サンタも、ひとりに使える分は決まっている」と伝える家もあります。嘘ではないので、あとで矛盾しません。 低学年には分かりにくいこともあります。
やめたほうがいいのは、「いい子にしていたら」を条件にすることです。 届かなかったときに、「自分はいい子ではなかった」という結論になります。物の量と、その子の価値を結びつけないほうがいい。
クリスマスプレゼントが予算を超えていたとき
断る以外に、3つの道があります。
① 差額を本人に出させる
上限までは親が出して、超えた分は本人のお小遣いや貯金から出す。いちばん学びが大きい形です。
出すとなった時点で、本人は「その差額を払う価値があるか」を考えます。ここで降りることもよくあります。降りたなら、それは本物ではなかったということです。
② 誕生日と合わせる
誕生日が近い家では、2回分を1つにまとめる手があります。ただし、2回あったはずの機会が1回に減ることは、先に本人に確認しておきます。 あとで気づくと、だまされたと感じます。
③ 来年に回す
「来年のクリスマスに」と決めて、1年待たせる。1年待ってまだ欲しいなら、それは本物です。 たいていは途中で別のものに変わります。変わったこと自体を責めません。
値段を見せるか
見せたほうがいいと思います。 ただし、見せる目的を間違えないことです。
「こんなに高いんだよ」と言うために見せると、罪悪感を渡すことになります。そうではなく、自分の希望がどのくらいのものなのかを知るために見せます。
ひとつ有効なのは、時間に置き換えることです。「この金額は、大人が働いて○時間分」。金額は実感しにくくても、時間は実感しやすい。
お小遣いの金額感については、こちらに書きました。
クリスマスプレゼント、きょうだいで金額を揃えるか
揃える必要はありません。 ただし、揃えないなら理由が言えることと、下の子にも同じ道が開かれていることが条件になります。
同じ金額にすると、学年が違うぶん、上の子には少なすぎ、下の子には多すぎることになりがちです。
ここは1本まるごと書いたので、そちらに譲ります。
→ お小遣いもゲームの時間も、きょうだいで差をつけていいのか
ゲーム機やスマホを頼まれたとき
本体の値段だけで判断しないことです。 このふたつは、買ったあとに別のものがついてきます。
- ソフトや課金で、あとからお金がかかる
- 時間の約束を作らないといけない
- きょうだいで取り合いになる
判断するのは「買うか」ではなく、「その後の約束を作れるか」です。 作れないなら、買ったあとに毎日もめることになります。
時間の約束のほうは、こちらに書きました。
渡す前に決めておくのは、この3つで足ります。1日に使える時間。どこで使うか。お金がかかるものを買うときはどうするか。 買う前に決めます。買ってから決めようとすると、もう手元にあるので交渉が成立しません。
3日で遊ばなくなったとき
よくあります。そのときに言わないほうがいいことがあります。
「あれだけ欲しいって言ったのに」
これを言うと、次のクリスマスで本当に欲しいものを言わなくなります。失敗を責められる場だと分かると、安全な希望を出すようになります。
代わりに、聞くだけにします。「思っていたのと違った?」「どこが違った?」
選び方がうまくなるのは、外した経験を数えられたときだけです。 外したこと自体は、別に悪いことではありません。
うちの場合
私が作っているアプリでは、子どもが欲しいものを提案の形にして親に出すようにしています。
質問に答えていくと提案ができあがります。何が欲しいか。いくらか。それが手に入ると毎日がどう変わるか。 自分は何を差し出すか。
このうち、「手に入ったら毎日がどう変わるか」が、いちばん答えにくい質問です。 大人でも答えられません。欲しい理由は長く話せますが、手に入ったあとのことは想像しないと言葉になりません。
クリスマスは、この質問を使うのに一番向いている時期だと思っています。断る前提ではないので、子どもも身構えずに考えます。
うちでは、下の子がこの質問の途中で「やっぱりいらない」と自分で言ったことがありました。説得したわけではなく、答えられなかっただけでした。
まとめ
- クリスマスは断る場面ではなく、交渉の練習に一番向いている場面
- 11月のうちに3つ決める。 上限・締め切り・あとで変えられるか
- 「いい子にしていたら」を条件にしない
- 予算を超えたときの道は3つ。 差額を本人が出す/誕生日と合算する/来年に回す
- 値段は見せる。 ただし罪悪感のためではなく、大きさを知るために。時間に置き換えると伝わる
- ゲーム機やスマホは、本体の値段ではなく「その後の約束を作れるか」で判断する
- 3日で飽きても責めない。 責めると、次から本当に欲しいものを言わなくなる
いちばん避けたいのは、希望を言ってこなくなることです。何が欲しいか言ってくれる相手でいてもらうほうが、長く見れば得だと思っています。
