ゲームで勝手に課金されたとき、親が最初にやること
結論から書きます。最初にやるのは、叱ることではありません。
順番はこうです。① 止める ② 記録する ③ 相談する。 子どもと話すのは、そのあとです。
小学生2人を育てながら、子ども向けのアプリを作っています。作る側から見て、なぜこれが起きるのかも書きました。
子どもが勝手に課金するのは、なぜ起きるのか
先に言っておきたいことがあります。これは、その子が特別だから起きるのではありません。
課金の仕組みは、迷わせないように作られています。
- タップの数が少ない。 買うまでに考える時間がほとんどない
- 顔や指紋で決済が通る。 パスワードを打つ場面がないと、お金を払った感覚が残らない
- 最初は無料で始まる。 払う場面は、遊び始めたあとに出てくる
- 当たるかどうかが分からない。 いちばん続く形で報酬が設計されている
大人でも引っかかります。仕組みの話であって、しつけの失敗の話ではありません。
ガチャの仕組みそのものについては、こちらに書きました。
気づいた直後にやること(順番)
① 止める
まず、同じことがもう一度起きない状態にします。
- 端末に保存されている支払い手段を外す
- アカウントのパスワードを変える
- 購入のたびにパスワードを求める設定にする
ここを先にやらないと、話している間に次が起きます。
② 記録する
消える前に残します。
- 購入の履歴(日時と金額が分かる画面)
- 届いているメールや通知
- 子どもがどの端末で、どのアカウントで操作したか
あとで相談するときに、これがあるかどうかで話の進み方が変わります。 消してしまうと戻せません。
③ 相談する
窓口は2つあります。
プラットフォームの窓口。 アプリを配っている会社ではなく、ストアやOSの運営会社の窓口です。申請の方法と条件は会社ごとに違い、変わることもあるので、その場で最新の案内を確認してください。
お住まいの自治体の消費生活センター。 無料で相談できます。手続きの進め方を教えてもらえますし、事業者とのやりとりが止まったときにも相談先になります。
なお、未成年者が親の同意なしにした契約は、あとから取り消せる場合があります。 ただし適用には条件があり、年齢や状況によって結論が変わるので、ここでは断定しません。 相談先でご自身の状況を確認してください。
やってはいけない対応 3つ
全額を子どもに返させる
金額が大きいほど、これは罰になります。 払い終わるまでの数年間、ずっと罰が続く形になる。
そして、次に何かが起きたときに、隠すようになります。 言ったら終わりだと分かっているからです。
端末を取り上げて終わりにする
取り上げると、その日は解決しますが、何も学びません。 返したときに同じことが起きます。
取り上げるなら、「いつ返すか」と「何ができたら返すか」を同時に言ってください。 期限のない取り上げは、罰であって対策ではありません。
なかったことにする
金額が小さいと、やりがちです。ただ、そのまま進むと金額が大きくなってから発覚します。
小さいうちに扱うほうが、お互いに楽です。
子どもに聞く 3つの質問
落ち着いてから、これだけ聞きます。
①「何を買ったの?」
責める前に、事実を揃えます。本人も分かっていないことがあります。
②「買ったとき、どうして買おうと思ったの?」
「あと1回で出そうだった」「友だちが持っていた」「無料だと思った」。どれも本当の理由です。 ここを聞かずに叱ると、理由が分からないまま終わります。
③「それ、いくらだと思ってた?」
これがいちばん大事です。 たいていの子は、金額の実感を持っていません。画面の中の数字と、家のお金がつながっていない。
ここでつながっていなかったのなら、叱る前にやることは、値段の測り方を教えることです。
払わせるかどうかの線引き
全額か、一部か、ゼロか。基準は金額ではなく、「知っていたかどうか」だと思っています。
| 払わせるか | |
|---|---|
| お金がかかると知らなかった | 払わせない。 知らなかったことは罰の対象になりません |
| 知っていたが、金額の大きさが分かっていなかった | 一部。 本人のお小遣いで無理なく払える範囲まで |
| だめだと言われていたのに、分かってやった | 一部+信用の戻し方を決める。 全額にはしない |
全額にしないのは、甘いからではありません。 払い終わるまで罰が続くと、次から隠すようになるからです。隠されるほうが、親にとって損です。
二度目を防ぐのは、約束ではなく設定
「もうしないと約束しなさい」で止まるなら、最初から起きていません。変えるのは設定のほうです。
- 支払い手段を端末に保存しない
- 購入のたびにパスワードを求める。 そのパスワードは子どもに教えない
- 課金のないアプリやゲームを、別に用意しておく
- 明細を月に一度、親が見る日を決める
最後のひとつが効きます。見る日が決まっていると、気づくのが早くなります。
ゲームの時間の約束そのものについては、こちらに書きました。
うちの場合
私が作っているアプリでは、子どもの画面からお金が動く場所を、一つも作りませんでした。
- アプリの中のコインは、現金になりません。現金で買うこともできません
- くじで当たるのは、見た目が変わるものだけです。 当てても強くなりません
- 保護者の画面は、保護者用の暗証番号の内側にあります。 5回まちがえると10分間ロックされます
正直に書いておくと、このアプリ自体は有料です。 月額の契約があります。ただし、契約するのは保護者の画面の中だけで、子どもの画面からはそこに入れません。子どもが操作して料金が発生する経路はありません。
ここは、作るときに迷わなかった数少ない部分でした。子ども向けのもので現金が動くと、親は中身を見る前に身構えます。 それは正しい反応だと思っています。
まとめ
- 叱るのは最後。 順番は ①止める ②記録する ③相談する
- 止める=支払い手段を外す、パスワードを変える、購入時にパスワードを求める
- 記録する=履歴・通知・どの端末とアカウントか。消す前に
- 相談する=プラットフォームの窓口と、自治体の消費生活センター
- 全額を返させない。 払い終わるまで罰が続くと、次から隠す
- 聞くのは3つ。「何を買ったか」「なぜ買ったか」「いくらだと思っていたか」
- 二度目を防ぐのは約束ではなく設定。 明細を見る日を決める
いちばん避けたいのは、次に困ったときに言ってこなくなることです。金額の回収より、そちらのほうが長く効きます。
